浴衣を着て使いたいうちわ 10
三大うちわ
日本の三大うちわをご存じでしょうか。
京都の「京うちわ」
香川の「丸亀うちわ」
そして千葉の「房州うちわ」
この三つのことを指します。
それぞれにわかりやすい特徴があります。
簡単に説明すると、
京うちわは柄と扇が別々につくられている。
丸亀うちわは柄が薄くて平ら。
房州うちわは柄が竹の形をそのまま生かして丸い。
見た目ですぐに違いがわかると思います。
ちなみに丸亀うちわが日本のうちわの90%を占めるとか。
たしかにお祭りで配られたりするプラスチックのうちわも柄が平らなモノが多いですよね。
なるほどこれまで使っていたうちわは丸亀うちわが多かったのか。
宇山さん
房州うちわを語る上で欠かせない方がこの方、千葉の房総に工房を構える宇山正男さん。
笑顔がとっても素敵な方です。
房州うちわは三大うちわの中でも工程数が一番多く、21もの手順があります。
その昔はそれぞれの工程でつくる職人が異なる分業制だったそうです。
そこで宇山さんはそれぞれの職人さんのところへ弟子入りをして工程を学び、全行程を一人で行えるようになりました。
今では房州うちわの全行程を一人ですべて行えるのは宇山さん一人となってしまっています。
そんな宇山さんはうちわをつくるだけではなく山を所有、管理して上質な女竹、大名女竹を生み出すところから取り組んでいるそうです。
うやま工房を予約する
そして「うやま工房」ではうちわの制作体験をやらせていただけるのですが、予約の電話をした時のやりとりを今でも思い出します。
私「うちわの体験をお願いしたいのですが……」
宇山さん「はい体験ね!いつ!?何人!?」
私「○月○日の○時で3人です。」
宇山さん「はい○日の○時で3人ね!はい大丈夫ですよー!(ガチャッ)プーップーッ……
私「……え?(切られた……)」
なんでしょう。
不安。笑
予約といったら名前と電話番号聞かれるのに慣れてしまっているせいか日時と人数だけ聞かれて電話を切られてしまったことに戸惑いましたが結果大丈夫でした。
体験日当日
ともあれ予約した日にうやま工房へ向かうと周りは田んぼと山ばかりの絵に描いたような田園風景が広がっていました。
大きくないけれど看板が立っています。
同じ時間には私たち以外にもカップルが1組。
壁にかけられたカレンダーを見ると日にちのところに時間と人数がメモしてあります。なるほど。こういうことか。
そして8月中はかなり埋まっているようでした。
宇山さんに工程の説明をいただきながらうちわを自分の手でつくります。
21もの工程の中で自分がやる作業はごくわずかながら当たり前のことですが難しい。
宇山さんはその間もご自身でどんどん綺麗なうちわをつくりながら適宜アドバイスをくださる。やっぱりすごい。
生地を選んで竹の骨部分に糊をつけて、生地の貼り付け、はさみで形をつくる……
(後ろに写っている手が宇山さん)
やっとうちわが完成します。
感動。
なかなかうまくできたのでは?(勘違い)
最後仕上げを待っている間に冷えたスイカが出てきました。
これがまた美味しい。
夏休みにおじいちゃんの家に遊びに来たような気持ちになります。
なんとも懐かしい……
宇山さんのうちわはすごい
そしてせっかくなので宇山さんがつくったうちわも売っていただきました。
「大満月」というそうです。
この大きさ、色、柄が気に入りすぐに手にとりました。
ちなみに体験でつくったのは「小満月」だそうです。
比べてみるとこのくらい大きさが違います。
なによりこのうちわは使ってみるとすごいんです。
風の量がすごい。
うちわってこんなに涼しいのかと驚きました。
クーラーや扇風機が夏の当たり前になった今日ですが、
このうちわであおぐ風というのもまた心地良く涼しいのです。
そしてこの風情ある見た目が夏の浴衣に合わせてみるとこれがまた輝くように素敵なのです。
昔と比べると出番が少なくなったことは間違いないと思いますが、
うちわを使う夏の楽しさもまだ今の日本に受け継がれています。
ぜひこの房州うちわを使って日本のお祭りを楽しんでみてください。