日本酒を飲みたい江戸切子 07
江戸のモノづくり
江戸切子ってなんなのか、知っているようでなにも知らないことに気付きました。
長らく日本の中心である江戸でモノづくりが栄えていないはずがありません。
名前だけ聞いたことのある「江戸切子」を見て、使ってみたくて東京の墨田区へ向かいました。
華硝
駅から下町感のある通りを歩くこと10分ほど。
一見すると民家に見える建物が目指していた華硝でした。
インターホンを押してモノを見せていただけるか尋ねるとすぐに案内してくれました。
中に入り階段を上がると一室にはキラッキラの江戸切子が宝石のように並んでいました。
江戸切子
江戸切子の基本の3色は
紅色、瑠璃色、葡萄色だそうです。
私は瑠璃色のおちょこを手に取りました。
色、模様、手に持った感じがもうたまらなく綺麗で見惚れてしまいました。
これが江戸切子かぁぁぁと心の中で思いながらそれ以外のモノもたっぷり拝見しました。
お手入れ
江戸切子はたわしでごしごし洗います。
繊細そうな印象があったのでなんとも意外でしたが、純度の高いガラスは丈夫なので全く問題ないそうです。
綺麗で丈夫で長く使えるというのは素晴らしいですね。
磨く
日本が最も優れているのはガラスを磨く技術。
そう教えていただきました。
世界にもカットガラスなどガラス製品は多々ありますがこと磨く技術では日本はどこにも負けないそうです。
ガラスは本来曇りガラスのような色をしています。
その曇った部分を削るように磨き、透明にするのです。
なるほどこの輝きは磨きから生まれているんですね。
別名
実はこのおちょこは「オバマグラス」とも呼ばれています。
以前安倍首相がオバマ前大統領に贈ったところからそう呼ばれるそうです。
つまり私はオバマ前大統領とおそろのモノを持っていることになりますね。
私のプチ自慢です。
つくり手
そんな江戸切子をつくる職人さんは江戸切子一筋何十年の人かと思いきや、現在の社長を除くとなんと20代~30代が中心とのこと。
なんと。
きちんと伝統が受け継がれていくこの状態がある種一つの理想のかたちで、これまで見てきたモノづくりの場の多くとは異なりものすごいことだなと感じました。
伝統
古いモノと伝統のあるモノはなにが違うのでしょう。
昔からつくられていて今では生活から切り離されてしまったモノが古いモノ、
昔からつくられていて今も生活の一部としてあり続けているモノが伝統のあるモノなのかなと個人的には思っています。
つまり使う人によって異なるのですがそういうものかなと思います。
守るべきものを守り、より良いモノを生み出す。
伝統を受け継ぐとは同じカタチを守り続けることではないのかもしれません。
その時その時で最高のモノをつくり続けた結果伝わるものなのかもしれません。
昔よりも今の江戸切子の方が優れている。
そう胸を張って言えるだけの熱量と誇りと技術を持ってモノづくりに向き合っている方々はカッコよかったです。
江戸切子と私
江戸切子が日本を代表するモノのひとつであることは疑いようがありません。
このおちょこを使って父と酌み交わす日本酒がなんと輝くことか。
またひとつ日常を豊かにしてくれる素晴らしいモノに出会いました。